16歳でHKT48のメンバーとしてアイドルデビューし、現在はモテクリエイターとして活躍するゆうこす(菅本裕子)さん。2016年に株式会社KOSを設立し、自社商品やタレント、ライバーマネジメントを通じて、さまざまな“かわいい”をプロデュースしています。そんな彼女が考える“かわいい”とは何なのか。お話を伺いました。
——“かわいい”の代名詞、アイドルの活動経験もあるゆうこすさん。昔からアイドルは好きだったのでしょうか。
そうですね。特に学生時代は元モー娘。の高橋愛ちゃんが大好きでした。愛ちゃんにはリスみたいな、小動物的な可愛さがあって。そのころの私は、「純粋無垢で小さいものが“かわいい”ものだ」と思っていました。だから、アイドルになったばかりのころは身長を偽っていて。本当は163cmなのに、156cmと言っていました。
——現在は本来の身長を公表していますよね。どのような心境の変化があったのでしょうか。
アイドルをしているうちに、いろんな“かわいい”があるんだと気づいたからです。AKB総選挙でのスピーチを例にあげると、塩対応なぱるるさんもかわいいし、元気いっぱいな大島優子さんもかわいい。そして、秋元才加さんみたいな強くてかっこいいのもすごくかわいいと思って。
秋元才加さんは私よりも身長が高くてキリッとしていて、私が思っていたかわいいとは真逆だったんです。でも、それがすごく彼女らしくてかわいいんですよ。
その人の個性こそが“かわいい”になるんだと思うようになって、私も身長を低く見せることを辞めました。今ではもっと高く見せたくて、ヒールばっかり履いています(笑)。
——アイドルを経て、現在は“モテクリエイター”として活躍していますよね。自分のではなく、人の“かわいい”を見つけるのは大変ではないですか?
私、“かわいい”を見つける天才なんです。その人が持つかわいさを、瞬発的に3つはあげられます。
——どんな人に対してもですか?例えば、性格がきつい人とか……。
言いづらいこともきちんと伝えられる、クールでかっこいい人だなって思います。それがその人の個性で、“かわいさ”ですよね。
——昔から人の“かわいい”を見つけるのが上手だったのでしょうか。
そうですね。その理由はふたつあると思っていて。ひとつは、小さいころからアイドルが好きで、たくさんの“かわいい”に触れてきたから。もうひとつは、私が「かわいいね」ってたくさん言ってもらってきたからです。
昔から、かわいいって言われたら「ありがとう、あなたもここがかわいいね!」って返すようにしているんです。だから、反射的にその人のかわいさを見つける癖がついているのかなと思います。
——「かわいい」と言われると、まず謙遜してしまう人が多いかもしれません。
せっかく自分のかわいいを見つけてくれているのに、謙遜するのはもったいないですよね。「私のかわいいを見つけてくれてありがとう」って受け止めて、相手のかわいいも伝えられるとお互いにハッピーじゃないですか。
かわいいって言われたら、相手のかわいいを3つ見つけてお礼に伝えてみてください。そうしたら、きっと「かわいいを見つける天才」になれますよ。
——ゆうこすさんが思う“かわいい”と、相手の思う“かわいい”にギャップがあったときはどうしますか?例えば、自分のお気に入りのヘアスタイルをSNSに投稿したら、フォロワーから「前の方がかわいかった」と言われてしまったときとか。
それがひどい言い方だったら無視します。「太ったね」とか「デブじゃん」とか「ブス」とか、そういうことを言われたら一瞬落ち込んで、「いや、でも私かわいいじゃん」って方向に気持ちが行きますね(笑)。でも、真剣に私のことを思ってくれている意見だったら、一旦自分の中のかわいいと混ぜてみます。
自分が思うかわいいと、相手の思うかわいいを半々くらい混ぜ合わせてみて、「似合うかもしれない!」と思ったら取り入れるんです。
——これまでにファンの意見を取り入れたことはありますか?
それこそ以前は、おでこを出すのは“かわいくない”と思っていたんですよ。でも、ファンの人に「おでこを出したヘアスタイルも似合いそう」と言われたので思い切って取り入れてみたら、「この私もかわいいじゃん」って発見できて。今ではおでこ全開なセンターパートも、シースルーバングも大好きです!
ちなみに、今日の髪型はマトメージュでまとめてきました。もうすぐ夏なので、まとめ髪ですっきりさせてみようと思って。学生時代に浴衣を着るときに使ったことはあったんですけど、大人になった今でもすごく使えますね!ヘアスタイルの選択肢が広がりそう。
——自分が思う“かわいい”とは違うものを取り入れるのは、怖くはなかったのでしょうか。
全部一気に変えるのは怖いので、小さいものからひとつずつ取り入れるようにしています。眉毛を剃ってみるとか、カラコンのサイズを変えてみるとか、前髪を変えてみるとか。ひとつなら気軽に変えられるし、もし「似合わないな」と思っても元に戻しやすいんですよ。
自分の思う“かわいい”だけじゃなく、人の思う“かわいい”も取り入れることで、“かわいい”の選択肢がどんどん増えていくんです。
私の掲げる「モテの三箇条」があって。ひとつ目が「自立している」、ふたつ目が「自分と相手の気持ちを大事にしている」、三つ目が「常に成長・吸収しようという心がある」。これって、もちろん内面の話でもあるんですが、外見にも当てはまります。外見をちょっと“デコレーション”するだけで、その日のテンションやモチベーション、笑顔が変わってきますよね。そこに他者の意見を取り入れることで、挑戦のチャンスがグッと増えるはずです。
——マトメージュの2022年のブランドメッセージ「かわいいを、解放せよ。」にどのような印象を受けましたか?
解放って、挑戦することと同義だと思っています。“解放”の対義語は“束縛”ですよね。束縛されるのは、ある意味で安心安全なんです。毎日決まったテンプレのようなメイク、ヘアスタイルを続けていれば、失敗はしないじゃないですか。
新しいメイクやヘアスタイルを解放すると、失敗するかもしれない。でも、解放することで自分も知らなかった新しい一面に出会えるんです。
私も、背が高かったり、サブカルが好きだったり、メイクが上手だったり、マンガに詳しかったり、彼氏が大好きだったり……いろんな部分があるから“かわいい”のだと思うんです。多面的であればあるほど魅力的だと思うし、その引き出しを作るのは挑戦なので、これを読んでいるみなさんにもたくさん挑戦してみてほしいですね。
——最後に、読者のみなさんに一言お願いします。
「かわいいを、解放せよ。」は、なかなか難しいことだと思います。だから最初はテンプレでもいいので自分の思う“かわいい”を表現してみてください。そうしているうちにちょっとずつ自信が生まれてくるんじゃないかな。
挑戦して選択肢を増やすことが“かわいい”につながります。自分が思う“かわいい”と人が思う“かわいい”を混ぜて、新しい“かわいい”を解放していくことで、選択肢はどんどん増えていくはず。挑戦を恐れず楽しんで、めいっぱい“かわいく”なってください!