飾らない言葉で友だちのように語り掛けてくれる動画が人気のYouTuberでモデルのそわんわんさん。2022年4月現在、YouTubeチャンネル登録者数63.9万人、Instagramはフォロワー26.7万人。ファッション誌『la farfa』専属モデルや書籍の出版など、活躍の場を広げています。
マトメージュのブランドメッセージ「かわいいを、解放せよ。」を体現するひとりでもあるそわんわんさんに、今の発信スタイルになった背景や、さまざまな意見に触れながらも自分らしくいられるコツを聞きました。
——YouTubeでは、自分なりの「かわいい」を楽しむ姿や、ファンの悩みに寄り添う前向きな言葉が印象的です。このような発信を行うようになったきっかけを教えてください。
学生時代、自分がテレビに映るタレントさんに励まされた経験からタレントになるのが夢になりました。誰かを笑顔にする存在になりたいと思ったんです。YouTubeをはじめたきっかけは、私のなりすましが勝手に配信を始めていて(笑)。それなら私がやらなきゃと思い、動画配信をはじめました。
でも、配信をはじめてから、たびたび批判的なコメントを受け取るようになって……。「ブスなのに、どうしてYouTubeができるんですか?」「そんな顔でよく人前に出られますね」とか。
——傷つくことはなかったですか?
もちろん私も人間なので、多少は傷つきます。でも、それ以上に「かわいい」には、“痩せた体”や“二重”など、世間がいつの間にかつくった基準が存在しているように感じて。「世の中の人って、こんなに容姿で悩んでいるんだ」ということに気づいたんです。
そこから、他人に押し付けられる「かわいい」の基準に苦しんでいる人へ「今のままでいいんやで」「かわいいの基準はひとつじゃないよ」と伝える存在になりたいと思うようになりました。
——そういう気持ちが伝わるせいか、そわんわんさんには容姿などで悩んでいる人から多くのコメントが寄せられていますよね。
生活していると、至る所でいろんなメッセージを受け取りますよね。「脱毛しないと好きな人に嫌われちゃう」というような広告や、細いモデルさんを見て「痩せないとダメ」と感じてしまうことも。それらに触れているうちに「綺麗とはこうあるべきだ」と思い込んでコンプレックスが大きくなっていくのかなと思います。
もちろん「綺麗になりたい」「かわいくなりたい」という気持ちは否定しません。でも外野の声に振り回されすぎずに、自分の「好き」にちゃんと耳を傾けてあげることが大事なんじゃないかな。自分で「私はこれが好き」「こうありたい」と望むものが分かっていれば、人の意見に影響を受けず「私がいいと思っているんだから、これでいい」と貫けるようになる気がします。
私も「なんで太っているのにミニスカート履くの?」なんて言われることもありますけど、「え?なんで太ってたら履いたらあかんの?」って返しますもん(笑)
——発信活動をはじめたばかりの頃には自虐ネタも投稿されていましたが、それを辞めたのはなぜですか?
私が容姿をネタにすることで「太ってたり、一重だったりする見た目は、自分をネタにしないと好かれないんだ」という思い込みを植え付けかねないと思ったことが一番の理由です。
あと、自分のことをネガティブに評価している人からどんなに素敵な洋服やコスメを紹介されても、その魅力が真っ直ぐに届かないんじゃないかとも感じて。自分の発言にしっかり意味を持たせたいから、自虐することを辞めました。
——発信した後のことまでも考えられているのが、そわんわんさんの魅力ですね。
今まではあんま考えてなかったけど、動画を作るにあたって「誰かを傷つけることはしない」ことだけは決めています。私のことをよく知らない人が動画を見ても悲しい気持ちにならないかという点はすごく気をつけていますね。
——人の意見とうまく距離をとるには、どうしたらいいのでしょうか?
私は「意見は人それぞれ違う」という前提を持っています。人の目を気にするのは、ある意味、「みんな」に肯定されることを望んでいるからだと思うんですね。でも、みんな違った価値観を持っているから意見が合わないことは当たり前。
もし誰かから「そのメイク微妙だよね」と否定されても、それは「たまたま好みが合わなかった」だけのこと。決して「自分がかわいくない」ことにはつながりません。
他人の意見に従って、やりたいことができないことが一番悔しい。なので「自分はこうしたいんや、こうありたいんや」を何より大事にしてほしいですね。
否定する人って、何をやっても否定すると思うんですよ(笑)。夢を語れば「そんなんできんって」と言うし、挑戦しなかったら「やっとったらよかったのに」と言うし……そんな意見に振り回されて、やりたいことができないの嫌じゃないですか。
——意見の違いを受け入れ、やりたいことを実現するために、まずできることはなんでしょうか?
肯定される場所があることを知っておくと勇気を出す助けになります。
私は、学生時代を和歌山で過ごしました。当時は原宿系のファッションが大好きで、地元でも髪を染めて、ファッションも原宿系にしていたら友だちや家族から「一緒に歩きたくない」なんて言われて。
でも、「地元では受け入れられないけれど、原宿に行けば、私と同じようなファッションを楽しんでいる人たちがいる」と雑誌を通して感じられたことで、自分の好きなことを楽しみ続けることができたんです。
もしこれを読んでいて、自分の好きな格好ができずに悩んでる人がいたら、まずは、好きな格好をして、全然知らない町に行ってみてほしいです。きっと誰も批判してくることはないと思います。そうやって「あ、大丈夫なんや」と思える体験を積み重ねることで、自分なりの「かわいい」への自信がついていくんじゃないかな。
——明るい髪色が印象的なそわんわんさんですが、ヘアスタイルへのこだわりはありますか?
不器用なので、ヘアアレンジが実は苦手で……。なので、ちょっとしたアレンジで楽しんでいます。手軽に印象を変えるためにオールバックにすることもあるので、そんな時は「まとめ髪スティック」が活躍しそうです。
自分で巻いたり、アレンジしたりするのが苦手な分、特別なときは必ず美容室で綺麗にしてもらいます。実は今日、髪の毛を洗っていなくて(笑)。前日に美容室でトリートメントをしてもらった時に、可愛く巻いてもらったのがもったいなくて、寝癖がつかないように寝て、ここ(取材)に来ました。
苦手なことを頑張るのも素敵やけど、頼れる部分はプロに頼ったらいいんです。適度に手を抜いて、力を抜いて、頑張りすぎないことが大事やと思いますね。
——マトメージュの2022年のブランドメッセージ「かわいいを、解放せよ。」に、どのような印象を受けましたか?
私のSNSには、社会に決められた「かわいい」に、我慢したり、傷ついたりする声がたくさん届きます。それぞれのかわいさが前面に押し出されて、そのままの自分で前へと進んでいけるような空気が生まれてほしいと、ブランドメッセージから感じました。
「かわいい」はもちろん、やりたいことや夢も、解放されて、自由に生きることができる人がどんどん増えたら素敵ですよね。「そのままでいいんやで」「見た目で夢を諦めんでもいいんやで」ということが伝わって欲しいなあ。
——最後に、読者のみなさんに一言お願いします。
私自身が「かわいい」を楽しんでなかったり、夢を叶えていなかったりしたら、どんなにポジティブな発信をしていても嘘になってしまうなと思っています。だからこそ、まずは私が自分の思う「かわいい」を貫いて、どんどん夢を実現させていって、みなさんの背中を押すことができたら嬉しいです。
体の健康が大事なように、心の健康もとても大事です。自分の心に正直に、何よりも自分を大事に過ごしてほしい。私も全力で自分の「かわいい」を楽しんでいくので、一緒に楽しく生きていきましょう!