10代の頃からSNSでの発信を始め、美容・ファッション・恋愛・メンタルヘルスの悩みなどジャンルにとらわれない発信を続けるインフルエンサーのきりまるさん。2022年7月にはYouTubeチャンネル登録者数80万人を突破。等身大の情報発信を続けるきりまるさんが考える、自分を好きになれる「かわいい」の見つけ方についてお聞きしました。
ーYouTubeチャンネル登録者数80万人突破おめでとうございます。高校生の頃から様々なSNSで活動されていますが、YouTubeはどんなきっかけで始められたのでしょうか。
1番最初にSNSでの発信を始めたのが高校生の頃で、MixChannel、Twitter、Instagramとメインで使うものを変えながら発信を続けてきました。YouTubeを始める前は看護学生とインフルエンサー活動を両立していたんです。看護師になるのが夢だったので資格を取って、卒業後は一度看護師として働きました。でも、体調を崩して休職することになって、自分への自信も、居場所もない感覚になってしまったんです。そこで、何か続けられるものがあれば自分のことを認めてあげられるんじゃないかと思ってYouTubeでの活動を始めました。
ーYouTubeを始めてみて、どんな変化がありましたか。
もともと人見知りだし、アドリブが苦手で全然上手く喋れなかったんです。でも、YouTubeを始めたおかげで喋れるようになって、頭の回転も速くなった気がします。初対面の人と会っても緊張せずにラフに話せるようになったので、生活の中でストレスが減ったように思います。
それから、YouTubeを始めてから、今までInstagramだと出しにくかった「素の自分」を出せるようになりました。「素の自分」が映っている動画を観た視聴者さんたちが「いつも楽しみにしてます」とか「元気をもらっています」とコメントをくださるので、自信がついたし、もっと頑張ろうという気持ちになれています。
ー「素の自分」という意味では、きりまるさんはパニック障がいの経験など、メンタルヘルスのことについてもオープンに発信されていますね。なぜそこまでオープンになれるのでしょうか。
私自身がパニック障がいになった時、周りに相談できる人がいなかったので、誰も理解してくれないと思い込んで本当に苦しかったんですよね。でも、動画でパニック障がいのことを発信してみたら、想像以上に共感してくれる人が多くて「自分だけじゃなかったんだ」と安心できたんです。私が発信することで、私と同じように苦しんでいる人が「他にも同じような経験をしている人がいるんだ」と安心できるかもしれない。そう思ってから、一見ネガティブな経験であってもオープンに話すようになりました。
パニック障がいのことに限らず、失恋したとか、引っ越しで詐欺に遭ってしまったとか、いろんな分野で悩みや苦い体験をオープンに発信するようにしています。私の動画が、当事者以外の人にも理解してもらえるきっかけになったり、悩みの解決策をシェアする場になったり、悩んでいる人を安心させられるようなものであったらいいなと思っています。
ーきりまるさんのスタイルは、親しみやすいのに「きりまるさんらしさ」もたっぷりなのが魅力的ですよね。どんな風に今のスタイルにたどり着きましたか。
とにかくいろんなものを試して見つけてきました。昔から客観的に自分を見ようとする癖があって、1日の終わりに自分で反省会をするのですが、そこで服装やヘアスタイル、メイクについても振り返ったりします。自分で自分を見つめて考えもするし、他の人に言われた意見も取り入れたりしながら色んなものを試してきた結果、今の「きりまるらしい」スタイルができたと思います。
ー以前、YouTubeで「自分に自信がない」とおっしゃっていたのを拝見したのですが、そんな意識も自分を客観視しようとする姿勢に関係あるのでしょうか。
そうですね。自信がないからこそ、どういたらいいんだろうっていつも考えていて、他人からの意見も吸収しようとしたり、全部一回受け止めようとするのかなと思います。ある意味、今の「きりまるらしさ」ができたのは自信がないからかもしれないですね。
ー「自信がない」って悪いことのように言われがちですが、必ずしも悪いことではないのですね。
自信がないからこそ成長できる側面もあるし、柔軟に色んなものを吸収して人生を豊かにしていけるんじゃないかなと思います。私自身もファッションに限らずですが、自信がないからこそ、なんでも経験することで厚みのある人間になりたくて。そういう風に使えば自信のなさもポジティブに使えそうですよね。
ただ、世の中には単なる悪口やネガティブなことを言ってくる人もいるので、受け入れる意見と流す意見を区別することは大事だと思います。高校生の頃は、アンチにかなり傷ついてダイエットしようとしたり、「歯並びが悪い」と言われて笑えなくなったりしました。今は、どこの誰かもわからない人に言われた意見を全て真に受けなくてもいいと思えるようになりました。「たしかに、やってみたら可愛くなるかも!」と前向きに受け入れられるものを、積極的に試すようにしています。
ーきりまるさんはファッションや美容に関する発信もたくさんされています。もともとファッションや美容が好きだったのでしょうか?
もともと本当に大好きで、特にヘアアレンジが昔から好きです。ヘアアレンジは、結んだり、前髪を上げてみたり、小物を使ってみたりとちょっとしたことで結構変化するので楽しいです。マトメージュも学生の頃からよく使っていて、2つ持っています。ピンをたくさん使いたくない時や、浴衣に合わせてアレンジするときなどに使っています。ヘアアレンジからどんどんと広がってメイクやファッションも楽しむようになりました。
ー自信がないからこそ、色んな意見を吸収できるという側面もある一方で、自信がないから自分が本当に好きなファッションやメイクに挑戦できない人もいるのかなと思うのですが…。
たしかにパーソナルカラー、骨格診断、顔診断の流行りを見ているとそういう人も多いかもしれないと感じます。私もトレンドは追わなきゃという気持ちもあるし、便利ではあるし、みんなが気になることだとは思うので情報発信はします。でも、そこに縛られ過ぎなくてもいいと思っています。
自信がないから「私はこのタイプなんだ」と“型”にはまることで、安心して居心地が良くなってしまう。それってすごく勿体無いと思うんです。“型”にはまっていると着れる服が減ったり、メイクの幅が狭まったり、その結果「自分はこうしないと」と思い込んでもっと自信がなくなっていってしまう気がします。やっぱり自分は自分しかいないので、好きな服や着たい服を、“型”を気にせずにたくさん試すことで、だんだん自信がついてくるんじゃないかなと思います。
ーきりまるさんの動画では「お尻が大きい」とか「太った」とか、多くの人がコンプレックスだと思うようなこともオープンに発信されている印象です。コンプレックスとはどのように向き合うのが良いのでしょうか。
私自身も着痩せするようなコーディネートはよくします。でも、実はそんなにコンプレックスだとは捉えていなくて。お尻が大きいのも私だし、痩せる時もあるし太る時もある。全部「これが私なんだ」と捉えています。コンプレックスだと思うと、また自信がなくなっちゃうので、ただ特徴のひとつだと認識しています。
「太った? 痩せたほうがいいよ」と言ってくる人もいるけれど、太っていて何が悪いんだろうと思うんです。これもひとつの“型”ですよね。本当に自分で気になるのなら直せばいいけれど、そうでなければ気にせず、そのままの自分を受け入れればいいと思います。
ー“型”のお話に関連して、世の中で「かわいい=◯◯」「女の子=◯◯」といったステレオタイプもあるように感じています。きりまるさんご自身はそうしたステレオタイプに悩まされた経験はありますか?
私は割と「女の子らしい」と言われるような見た目をしているので、中身までそこに紐付けた理想を押し付けられてしまうことがあって、それがすごく嫌だなと思っています。例えば、少し胸元が見える服を着た時に下品だと言われたり、少し砕けた言葉を使っただけで言葉遣いが汚いと言われたり。私の姉は、私よりも「大人っぽい」感じの見た目なのですが、同じことをしても何も言われないんですよね。
私はただこのスタイルが好きでやっているだけなのに、世間的には「女の子らしい」「かわいらしい」人がするファッションだとされているので、中身まで勝手に「女の子らしいきりまる」像をイメージされちゃうのは苦しいなと思うことはありますね。
ーマトメージュはそんな「かわいい」の既成概念を変えたいと願って「かわいいを、解放せよ。」というブランドメッセージを発信しているのですが、どのような印象を受けましたか。
解放っていう言葉がすごく私にとって嬉しい言葉だなと思いました。ここまでお話ししてきたように、“型”がある時代だからこそ、自分らしさを探しながらかわいいを解放しようというコンセプトが好きだなって。
ー最後に、きりまるさんの考える「自分らしい“かわいい”の見つけ方」を教えてください。
まず、自分を理解してあげることです。自分で自分を理解するのって難しいんですけど、わかってあげないと自分をどうすることもできないと思います。見た目も中身も全部を理解して、1回受け止める。
受け止めるというのは、「私は人見知りだからそれが欠点」とネガティブになるんじゃなくて、「人見知りなところも自分だ」とただ理解するということです。そのままの自分を受け止めて愛せるようになったら、変なプライドもなくなって柔軟にたくさんのものを吸収しやすくなると思います。
そこから、もっと自分が良くなるために本当に必要なものは何なのか、いらないものは何なのかがわかってくると思います。その繰り返しで、自信がついて「自分らしい“かわいい”」が見つかると思うので、まずは自分のことをよく知ってあげてください。