2010年にアイドルグループとしてデビューしたのち、2018年にアイドルを辞めてソロアーティストとしての活動を始めたぁぃぁぃさん。アイドル時代に培った歌唱力やダンス、トーク力を活かしInstagramやTwitter、YouTubeなどのSNSを中心にマルチに活動を広げられています。
アイドルとして駆け抜けた10代から、ソロ活動に励んだ20歳前後の5年間。大きな変化を時に自分で選び、時に受け入れながら過ごしてきたといいます。そんなぁぃぁぃさんのストーリーから、変わっていく「自分」とどう向き合えばいいのか、考えてみませんか?
ーぁぃぁぃさんは幼い頃から子役として活動されたのち、アイドルとしてデビューされていますよね。どんな経緯で芸能活動を始められたのでしょうか?
もともとは0歳から子役をやっていて、色々な都合で小学1年生の時に一度辞めたんです。でも、私の中では幼少期から仕事と学校や生活を両立させるスタイルが出来上がってしまっていて。どちらかがうまくいかなくても、どちらかがうまくいっていれば楽しく過ごせるようになっていたんです。
そこで、小学3年生の時に自分の意思で、また芸能活動を再開しました。子役時代からずっと憧れの事務所があったので、小学校5年生の時にどうしたらそこに入れるんだろうと考えて色々作戦を立てオーディションに臨んだ結果、アイドルとしてデビューすることが決まりました。
ーそんな中でも結果的に、8年間アイドル活動を経験されています。8年間の中でどんな変化がありましたか?
アイドルになってからは、自分の時間のほとんどを仕事に懸けて活動していました。面倒臭いことが嫌いだし、心配性だからというのもあるのですが、オフの日でも整体に行ったりメンテナンスをするか、寝て体を休めるかしかしていなかったですね。変な噂が立って、ファンや周りの方に悲しい思いをされたくない気持ちもあって、自分に自信を持っておくためにもそんな生活をしていました。自分の中にも、こんな「ぁぃぁぃ」で居てほしいという理想像があったので、それを裏切らないようにしていたんだと思います。
あとは、コミュ力がものすごくつきました。もともとは、初めて会う人とは話せなくて、学校でも声をかけてもらうのを待っているようなタイプでした。でも、アイドルになって握手会なんかやってみると、初めて話す人ばかり来るじゃないですか。その人がお金を払って来てくれた数秒間をどうしたら楽しませることができるんだろうと常に考えていたら、いつの間にかどんな人ともある程度楽しく会話できるようになっていました。気が付いたら握手会も好きになっていました。誰に対しても興味を持って話せるのは、アイドルをやったからついた自信のひとつです。
ーその後、2018年にアイドル活動を辞められていますが、どんな背景があったのでしょうか。
大きな理由は2つあって、1つはもっと「本当の自分」を残したいと思ったことです。私の所属していたグループでは生誕祭というイベントがあって、自分の誕生日のイベントを自主制作できるんですよね。自分の好きなようにできるので、本当の「自分」を出すぞと思っていつもやらない楽曲や、自分の好きなものを詰め込んだんです。そうしたら、思ったより否定的な意見もあって。
そこで初めて、今までの自分はみんなの中にある「理想のぁぃぁぃ像」に応えているだけだったなと気づいたんです。もちろんアイドルってそういう側面もある仕事だと思うので、それもいいと思います。でも、いざ本当に自分の好きなものを出そうと思った時に、全然喜んでもらえないことにショックを受けてしまって。ずっとここにいたら、本当の私を知ってもらったり好きにはなってもらえないのかも、と思ったのがきっかけです。
もう1つは、同時期に同じグループの子が1人亡くなったんです。グループとしては、亡くなった彼女の夢を背負って、上を目指そうという方針になりました。それはそれでかっこいいし、ファンの方も応援していて良かったと思ってくれるかもしれないです。
でも、私個人としてはどうしても納得できなくて。亡くなってしまった彼女の本当の夢は本人に聞かなければわからない。それに、想像で彼女の考えを決めて、背負っていくことは少し怖いなと18歳くらいの私は思ったんです。自分にとっては友達でもあったその子との普通の思い出や人物像がどんどん変わっていってしまうような気がして。
彼女の夢を勝手に背負うことは私にはできなかったし、今の「本当の私」を残しておかないとどこにも自分がいなくなってしまうと怖くもなりました。だから彼女との思い出を胸に、自分は自分にできることをしようと思って、アイドルは辞めることにしました。もちろん急に辞めても事務所も困ってしまうし、今までの感謝はきちんと伝えたかったので、結果的にはその出来事から1年後くらいに辞めることになりました。
ー大変な背景があったんですね…。とはいえ、8年も続けてきたことを辞めるのには大きな不安もあったのではないでしょうか。
気にかけてくださっていた方々には申し訳なかったのですが、当時はとにかくまっさらになりたい気持ちが強かったですね。卒業した後のこともあまり考えてなかったです。
でも少し辛かったのは、辞めた次の日でした。8年も続けていたので、さすがに感傷に浸ってSNSを見ていたんです。私の卒業コンサートの次の日に、新体制のコンサートがあったのですが、Twitterを見ていると「ぁぃぁぃいなくても全然大丈夫じゃん」みたいな投稿がたくさんあって。新しいみんなが評価されるのは素敵なことだけれど、それを見た時はついボロボロ泣いてしまいました。8年がこんなにあっけらかんと終わってしまうのかと衝撃も受けました。
それでも、その選択をしたことは今でも間違ってなかったと思っています。悔しかったし、同じようなことはもう味わいたくはないけれど、自分の人生でそういうことを経験してもやってこれたというのは自信にはなっています。
ーソロ活動を始められてからはどんな変化がありましたか?
2018年までは、アイドル活動を頑張りすぎてしまって、プライベートの写真も無ければいわゆる「放課後」のようなことを楽しんだこともないし、目の前の与えられたことをやるので精一杯でした。
でも、1人になってから今までの5年間は本当にたくさん遊びました。もっと深く友達に向き合ってみたり、ディズニーの年パスを買って行ってみたり、Instagramにハマったり…。いつもいつも真面目に活動していなきゃいけないんだという縛りから離れて、充実した幸せを感じられたような気がします。
ー今はまた、新しい目標や新しくやってみたいことはできましたか?
5年間好きにやってみてプライベートの自分を残すことは、だいぶできたなと思います。そして、やっぱり私は仕事が好きだなという気持ちも出てきました。
それに、10代でアイドルを辞めた頃は「理想のぁぃぁぃ像」に当てはめられるのが嫌だと思っていたのに、今ではそれもいいやと思えるようになってきたんです。私はトレンドを追うのが特別好きな訳じゃないし、服装や髪型も「みんなが好きなもの」が好きなわけではない。きっとぁぃぁぃを好きでいてくれる人は、私がそんな「好き」を貫き通しているのをいいと思ってくれているんだろうなと気づいて。一周回って、そう思ってもらえる自分に自信が持てるようになってきたし、少し想像と違う反応をされても「そんな風に思うんだ!」と色んな人のリアクションを楽しめるようになりました。
今は、私の全て分かってもらえなくてもいいし、みんなと意見がずれていてもいいと思っています。なので、これからはまた「自分」を出しつつ活動していけたらいいなと思っています。
ー色々な経験をされてきたぁぃぁぃさんにとって「変化」とは、どんな存在ですか?
変わらないものや人も素敵ですが、私は「昔と変わらないよね」って言われるのが怖いんです。だから変化がわかるように髪型なんかも変えてみています。
変わらないことって安心できると思うのですが、私は安心されたくないんです。相手の想像の範疇に収まっていたくはないし、何をしでかすかわからない人でいたい気持ちがあります。目立ちたがり屋だからかもしれないですね(笑)。
でも、人間関係もそうで、ずっと仲良しの人ももちろん大切だけど、常に新しい人とも出会って話すように心がけています。そうした方が、自分が古くならずに新しい考え方を取り入れられるし、昔からの大切な知り合いとまた会ったときにもお互いに新しい情報を共有できるじゃないですか。だから、自分の足で新しいものを見に行って、変化できるように心がけています。
ーマトメージュの2023年のブランドメッセージ「変わることを、恐れない。」にどのような印象を受けましたか?
「変わること」は恐れてしまって当たり前のものだからこそ、背中を押してもらえるメッセージだと感じます。私自身、元々は、準備や確認を入念にして大丈夫と分かってから新しいものに飛び込むタイプでした。でも、いざ何も考えずに今まで積み上げたものを全て手放して行動してみたら、周りの環境よりも自分の気持ちに耳を傾けて、変化にドキドキする感情すらも楽しめるようになりました。
ー最後に、変わりたいと思っているけれどなかなか一歩が踏み出せないという人に向けて、メッセージをお願いします。
私も、変化する時には不安はあります。でも、変わらないで長い時間を過ごす方が私は怖いなって思います。全ての変化が成功しなくてもいいと思うんです。変化してみて失敗しても、挑戦したその時間で得られるものがたくさんあるから。何もしないでいたら、ただ同じ時間を過ごすことになってしまいます。失敗は怖いけれど、恐れないで変わることに挑戦してみてください。